母親の浮気現場
30代 男性昔からあまり家庭を大事にしなかった母。
もともと両親は共働きだったのもあって、小さい頃から家族皆で揃って食事をするのも数える程しかありませんでした。
今思い返すと食卓に揃うのは俺と兄、そして親父と男ばっかりの食卓だったと思います。
大学を卒業し就職を機に家を出で、俺は実家に帰るのも年に数回程度と自然と少なくなっていました。
ある日取引先の打ち上げ会に招待され立ち寄ったのは実家近くのお店でした。
丁度良い機会だし、たまには実家に帰ろうかなと思いつつ宴会を楽しんでいると、後から入店してきた男女の客に自然と目が行きました。
中年の男性に中年の女性。はたからみれば夫婦だと思う2人組だったのですが、その女性は俺の母でした。
母親は俺に気づかない様子で、一緒にいる男性と腕を組みながら席について注文をしていました。
その時の俺の表情が青ざめていたらしく、隣に座っていた取引先の担当者が気づいて声をかけてくれたので、とにかく自分ではどうしたら良いのか分からなくて事情をそっと話したところ、担当者は「ちょっと確認してみましょうか。」と軽く言って席を移動したのです。
さりげなく母親達の会話が聞こえる席に移り、飲むふりをしながら話を又聞きする担当者。
その間俺はハラハラしながらも今目の前に怒っていることが現実ではないようにと祈るような心境だったのです。
そして戻って来た担当者は険しい顔をしていました。
俺を外に連れ出し、実はと聞かされた内容は、母親と相手の男性の話の一部始終でした。
俺の母親はずっと長い事その相手と付き合っていたらしく、子供たちが独立した頃合いをみて離婚し再婚する計画をたてているというのです。
これは一度家族で話し合ったほうが良いという担当者に頷くことしかできませんでした。
酔いも吹き飛び、ショックでフラフラになりながら実家に帰り、出迎えてくれた父親と、兄と兄嫁にさっき見たことを一部始終報告したら気が抜けたのかそれ以降の記憶がありません。
翌日実家で目が覚めると、母親の姿はありませんでした。
後から父親と兄に聞いたところ、俺は話をした直後トイレに駆け込んで嘔吐しそのまま酔いつぶれたように寝込んでしまったというのです。
その後に何食わぬ顔で帰って来た母親に父が問い詰めるように確認をしたところ、母親はあっさりと浮気を告白。
そのまま家を出て行ってしまったそうです。
結局父と母は離婚したのですが、俺の中では久しぶりに見る母親が、母ではなく「女」としての姿にショックが大きく、未だに思い出すと吐き気を催します。