探偵ニュース対談vol.12

Vol.12 心理カウンセラー×原一探偵事務所 ※2018年5月1日 探偵ニュースに掲載されたものです。
  • 酒井 豊美
    酒井 豊美
    心理カウンセラー。「ナチュラルリソース」室長。
    働く人の心身不調を中心に、うつ、依存、トラウマ、パーソナリティ障害、異文化不適応、家族の問題など、多方面で支援の実績を積む。
    認知行動療法、CPT、精神分析療法、ソリューションフォーカス、行動療法、自閉症児のための応用行動分析(ABA)などを中心に、カウンセリングを行っている。

    ナチュラルリソース
    http://na-re.jp/
    TEL:03-6447-2704

家出は家族との関係性が大きく影響している

原一
原一

酒井さんはアメリカと日本で心理カウンセラーとして活躍されていますが、家出と関係がある相談を受けたことはありますか?

酒井
酒井

主にパーソナリティ障害のカウンセリングを行っていますので、件数は少ないですが、家出の相談も何度か受けたことがあります。

原一
原一

年代はどれくらいですか?

酒井
酒井

10代と、35歳から40代の社会人です。10代は親子関係がうまくいかない、学校でいじめられたという理由が多く、大人は会社で居場所がない、ストレスを抱えているなどの理由が多いと感じています。

原一
原一

当社では2~3月の依頼は学生が多いのですが、通常は20~30代の家出、70代の徘徊による行方不明が多くなっています。当社ではトータル的なサポートを行う姿勢でおり、家出人とその家族に向けてできることを考えていますが、どこにスポットをあてていけばいいでしょうか?

酒井
酒井

10代の場合、家族関係が悪いと家出に向かうケースが多い傾向にあります。社会人の方も生育歴を聞いていくと、家族関係が悪いことが大きく影響しています。

原一
原一

家出の原因が家族以外のところにあっても、家族との関係性が影響するのですか?

酒井
酒井

そうなのです。ですから、アメリカでは子ども達と年齢が近い『ビックシスター』『ビックブラザー』と呼ばれるボランティアが子どもたちの相談相手になっています。

原一
原一

それはいいシステムですね。当社でも子ども達のいじめ問題に取り組んでいますが、そこで子ども達の気持ちがわかるメンター的な存在が必要だと感じています。

家出をした後が重要 繰り返さないための策が必要

酒井
酒井

また、子どもも社会人も現状から逃れたいという気持ちが強いので、家出から戻った後が重要です。

原一
原一

どうしたらいいですか?

酒井
酒井

まずは、本人を責めないことです。2~3日は休養をさせて、パーソナル空間に親は入らず見守っていましょう。

原一
原一

家出は繰り返す傾向がありますが、我々がサポートできることはありますか?

酒井
酒井

同じ状況にあればまた逃れようと家出をしてしまいます。状況を変えるには親子のコミュニケーションが必要ですが、そもそも家出人の家族は親子関係が悪いように感じており、親子関係を見つめ直す必要があると思います。これはカウンセラーなど第三者が入らないと難しいかもしれません。

原一
原一

当社では調査をして終わりではなく、アフターフォローも含めてサービスを充実させたいと考えています。今回は大変参考になりました。