日本の離婚率は約35%となり、厚生労働省の調査によると離婚件数は22万件に上ります。
今や3組に1組が離婚する時代ですが、その離婚の原因はほとんどが「不倫」だと言われています。
もし、夫や妻に不倫をされたらどういう流れで、いくら慰謝料を請求できるのでしょうか?
今回は、不貞行為の定義や証拠集め、不貞行為による離婚や慰謝料などについて詳しく解説していきます。
夫や妻に不倫疑惑があり、悩んでいる方は最後まで参考にしてみてください。
Contents
不貞行為の定義は?どこから不貞行為?
女性達の会話の中で「どこから浮気?」「どこから不倫?」という話題になりますが、法律的にはどうなのでしょうか?
そもそも法律には「不倫」という言葉は登場せず、「不貞行為」があったかが争点になります。
不貞行為とは、配偶者または内縁の人以外と「性行為」をすることが該当します。
つまり、どこから不倫なのかと言えば「性行為をしたら不倫になる」と考えるのが正解です。
不倫を断定できる不貞行為とは「性行為をしたか」どうかがポイントとなります。
「不貞行為をした」という証拠がある場合とない場合で
「離婚できるかどうか」
「慰謝料の金額がどうなるのか」
「浮気相手に慰謝料請求できるのか」
などが変わってきます。
よって「不貞行為があったかどうか」は大きなポイントになるのです。
「離婚や慰謝料」については後ほど詳しく解説しますがまずは「どこから不貞行為なのか」を詳しく解説していきます。
キスは不貞行為になるの?
性行為が不貞行為の基準だとすると、キスをしていた!という証拠は不貞行為と認めることはできません。
例えば、友人が
「アナタの旦那さん、友人A子と路上でキスしてたよ!」
と言われてもそれは不貞行為にはならないのです。
さらに
「アナタの旦那さん、友人A子と路上でキスしてたよ!」
という証言は、離婚調停や裁判の時には「不貞行為の証拠」として使えません。
手をつないでるのを見た!
手をつないで歩いていた!
というのも同じで不貞行為にはなりません。
こちらも手をつないで歩いていた時の写真があっても不貞行為にはなりません。
ただし、これは「離婚する時」「慰謝料を請求する時」の話であり
結婚していないカップルが「自分とは違う異性と手をつないでいた」「キスをしていた」というのが原因で別れるのは自由です。
LINEで浮気しているのが発覚!?
LINEなどの会話で「昨日のセックスは気持ちよかったね」というようなやりとりがあったとします。
しかし、この会話をスマホなどで撮影していても「不貞行為の証拠」としては弱い場合が多いです。
これらのLINEでのやりとりと同時に
- ラブホテルを利用したレシートが出てくる
- ラブホテルを利用したクレカの明細書が出てくる
- 避妊具(コンドーム)等を購入しているレシートが出てくる
などが組み合わされば不貞行為と認められる可能性があります。
キャバクラは不貞行為になる?
キャバクラに行くというのは不貞行為にはなりません。
しかしながら、キャバクラに通い詰めて、家庭にお金を入れない!という場合は不貞行為が理由での離婚にはなりませんが、「結婚生活を継続しづらい理由がある」という理由で離婚することは可能です。
風俗は不貞行為になる?
風俗が不貞行為になるかどうかは微妙なラインになります。
その風俗店で「性行為」が行われていれば、不貞行為になります。
しかし風俗店では性行為(本番行為)は禁止されています。
例えば大阪の飛田新地、東京の吉原など「性行為が行われている事実」が明白な場合は、不貞行為が認められる可能性があります。
離婚できる不倫の条件とは?
では、不倫が原因で離婚ができる時はどういう時でしょうか?
民法上で裁判所に訴えることができるのは以下の5つの条件です。
1.相手が不貞行為をしていた
2.相手を捨てて家出をした、相手を追い出した
3.相手と音信不通が3年以上続いている
4.相手が重度の精神病で回復しない
5.結婚生活を継続しづらい理由がある
この中で不倫に該当するのは1と5です。
配偶者が不貞行為があったと分かったら、離婚したいと訴えることができます。
確定的な性行為の証拠がなくても、ラインで仲の良い会話やキスの写真を見つけても、『5.結婚生活を継続しづらい理由がある』に該当します。
精神的にダメージを受けて一緒にいられないと思ったら裁判所に言える可能性はあります。
つまり、不倫とは不貞行為であり、不倫相手と性行為をしたことが条件ですが、不貞行為がなくても離婚すると言うことは可能です。
ですが、「不貞行為があったかどうか」で慰謝料の額が変わってきますので、簡単に「不貞行為と慰謝料」の関係性についてご紹介しておきます。
不貞行為あるなしで慰謝料がガラリと変わる!
では、気になる不貞行為の慰謝料はどれくらいなのでしょうか?
不貞行為のケースは人により状況がそれぞれですが、大体の相場は以下の通りです。
簡単に3パターンに分けて相場を見ていきます。
1.不貞行為で離婚した場合→200万~300万
2.キスやラインのやり取りが原因で離婚した場合→ケースによる
3.不貞行為はあったが離婚はしない場合→100万~200万
慰謝料とは精神的な苦痛を和らげるために支払われるものですから、不貞行為の有無により慰謝料の額は異なります。
例えば、夫のスマホの中にキスの写真やラインのラブラブメールがあっても、肝心な性行為をしたかどうかの証拠がなく離婚する場合は、上の2番になってしまいます。
不貞行為を立証すれば1に該当して、慰謝料を結婚相手と不倫相手の両方に請求することが可能です。
将来のことを考えて、子供のために不貞行為による慰謝料を請求するには、不貞行為の証拠を揃えることが最も重要です。
不貞行為の回数や浮気期間の長さで慰謝料は変わる?
不倫相手との性行為が証拠として集まれば、慰謝料を請求することが分かりました。
では、不倫している期間(長さ)や不貞行為の回数で慰謝料は変わるのでしょうか?
当然ながら、不貞行為の回数が多く、期間長いほど精神的な苦痛が大きくなると予想されるので、慰謝料も高くなることが多いです。
裁判所の判断にもよりますが、精神的なダメージが強いと予想されるものは慰謝料が高くなります。
不貞行為を立証できる証拠とできない証拠
不倫で慰謝料を請求するには、不貞行為があったという証拠を徹底的に集めることが大切です。
ラブホテルに異性と入る写真、出てくる写真で、顔が鮮明に写っている場合などは「決定打」にはなりますがその他にもさまざまな証拠を集めることで不貞行為を立証することが可能になります。
不貞行為を立証できない証拠
- 不倫相手からの着信履歴
- 待ち合わせのLINEのやりとり
- デートで使ったと思われるクレカの明細・領収書
- カーナビの記録
- 手をつないでいる・キスをしている写真
- 友人の目撃証言
以上の証拠は単体ではなかなか不貞行為を立証するのは難しいと言えます。
多くの証拠を集めたり決定的な証拠が必要になります。
不貞行為を立証できる証拠
上で紹介した証拠だけでは不貞行為を立証することはできません。
しかしながら
6月14日に「昨日のセックスは気持ちよかったね!」というLINEのやりとりがあり
6月13日にラブホテルで利用したクレジットカードの明細書があり
6月13日のカーナビの記録でそのラブホテルに行っていた履歴があり
6月12日にコンビニで避妊具を購入していた
そして頻繁に特定の異性と電話している履歴があり、LINEのやりとりも性交渉をしたことがうかがえる。。。
このような証拠が積み重なれば、「不貞行為があった」とされ、慰謝料の額も大きくなる可能性があります。
不貞行為の証拠を見つける!勝手にLINEを見るのは違法?
不貞行為の証拠を自分で見つけたい!という場合は以下の記事が参考になるでしょう。
自分でできそうな証拠の集め方を紹介しています。
またLINEを勝手に見るのはプライバシー権の侵害になるが、離婚裁判では認められるということや
LINEのアカウントに勝手にログインすると不正アクセス禁止法に触れるなどの
ことは以下の記事でも書いていますので、参考にしてみてください。
離婚調停と裁判費用・弁護士費用はどれくらいかかるの?
では、離婚調停や裁判の費用はどれくらいお金がかかるのでしょうか?
離婚調停は1万円くらいですが、裁判になると請求する慰謝料の額により異なり、500万円請求したとすると4万円程度です。
弁護士費用は事務所により異なりますが、着手金30万円~50万円、報酬額30万円~50万円が相場です。
これらの費用は勝訴判決となれば、不倫した人が負担するとの命令が下されます。
しかし、実際は裁判を起こす人(不倫された方)の負担となることが多いです。
ほとんどの場合は「裁判」までいかず、「調停」になることが多いです。
「調停」の場合は、しっかりと「不貞行為」を立証できる証拠を持っておくことが重要です。
裁判は調停で決着するのがコツ?
不倫問題でよくあるのは、ラインで不倫相手とのやり取りを見つけて喧嘩をすると、証拠が集めが困難になります。
相手は警戒して、LINEのやりとりを削除したり、ラブボ会員カードを捨てたり証拠を捨てるでしょう。
そのため、不貞行為を立証するには大ケンカするより着実に証拠を集めることが大切です。
不倫問題の場合約80%は裁判まで行かずに、交渉や調停で決着することが多いです。
まとめ
今回は、不倫の定義や証拠集め、費用、注意点などを詳しくみていきました。
不倫とは不貞行為であり、不倫相手と性行為をしたことが条件なので、確かな証拠集めがカギとなります。
しかし、不貞行為のはっきりした証拠がなくても離婚したいと言うことは可能です。
気になることは、まずは離婚問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。