探偵ニュース対談vol.08

Vol.08 臨床心理士×原一探偵事務所 ※2017年9月1日 探偵ニュースに掲載されたものです。
  • 緒方 俊雄
    緒方 俊雄
    SOT カウンセリング研究所 所長。
    2009年8月、うつ病者の復職支援の研究で、日本産業カウンセリング学会より学術賞を受賞。
    著書『 慢性うつは必ず治る 』(幻冬舎新書)他多数

    SOTカウンセリング研究所
    URL:http://sot-lab.jp/sot.html

うつ病には3つの種類があり従来型に自殺願望が強い

原一
原一

先生はうつ病のカウンセリングに強いと伺っておりますが、まずはうつ病の基礎知識を教えていただけますか?

緒方
緒方

うつ病には、3つの種類があります。1つは従来型うつ病、これは皆さんがイメージするうつ病の症状に近いと思います。2つめは躁うつ病といって躁とうつの症状を繰り返す病気、3つめは新型うつ病といって若い世代に多く、従来型のように 真面目なタイプが頑張り過ぎてかかるのではなく、一見わがままに思えるような行動をとるのが特徴です。

原一
原一

家出に結びつくうつ病はどれですか?

緒方
緒方

従来型うつ病です。新型うつ病は会社を離れると元気になるので、家出をする確率は少ないと思っていいでしょう。躁うつ病は、うつの時に自殺を考えて家出をする可能性があります。従来型のうつ病は、重くなると自殺願望が強くなり、自殺を考えると家出をする危険が強い傾向にあります。

原一
原一

うつ病の方が家出をしたら、すぐに相談をしていただきたいです。

緒方
緒方

実は、会社や近所に病気を知られるのが怖くて、家族は帰ってくるのをじっと待つことがほとんどです。うつ病は自殺願望があるということを忘れないで欲しいと思います。

原一
原一

当社の調査員は、間一髪で自殺を防いだ事例が数多くあります。時間をおいて相談にいらしても、残念な結果に終わることがあり、もっと早く相談していただければと心が痛みます。

探偵社へ相談するという発想が極めて少ないのが現状

緒方
緒方

うつ病の方が家出をする時、何か必ずキッカケがあります。家族とケンカをして家を出て行った時などは、自殺の可能性が高いですね。

原一
原一

どのような場所に行くことが多いですか?

緒方
緒方

自殺を考える時は、先祖の墓、思い出の場所、なじみの店などに行くことが多く、最後に一番信頼をおいている人に連絡をとります。連絡がとれれば自殺を考え直すことありますが、連絡がとれないと危険です。

原一
原一

うつ病と診断されていなくても、うつ病と同様の症状がある場合、自殺の危険性を考えた方がいいですか?

緒方
緒方

よく眠れない、気分が落ち込んでいるなど、うつ病の症状を相談員さんが理解することは重要だと思います。しかし、うつ病の家出人調査に探偵社を利用する、という発想がそもそもないのが現状だと思います。

原一
原一

原一探偵事務所が、うつ病患者に理解があり、知識もあるということを広く知っていただくことが、自殺を食い止めることにつながると、緒方先生のお話しで実感いたしました。

原一探偵事務所が受けた家出調査の相談件数(2016年)
原一探偵事務所が受けた家出調査の相談件数(2016年)

うつ病患者による家出の相談が増えれば、秋~冬にかけての相談件が増えると考察される。現在秋~冬に少ないのは、まだうつ病患者の家出と探偵への調査依頼が結び付かないことを表している。

緒方先生の書籍
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