あれは就職して3年ほど経ったある夏のこと

30代 女性

あれは就職して3年ほど経ったある夏のことだった。
A子の彼から相談を受けたのは。

「最近A子の料理がとても美味しくなった。それは、いいことなんだけど、A子がダイエットしてるから、“私の分もどうぞ”って言うから、結局1.5人分の食事を食べることになるんだよ・・・もう少し全体の量を少なくするようにそれとなく伝えてくれないか?」っと。

私にしてみると、不思議な話で、A子、ダイエットなんてしてたっけ?とか、自分で言えばいいのになぜ私が?とか、言いたいところだったけど、その場は「じゃあ、料理の話でも振ってみるよ」と言っておいた。
わざわざ波風を立てなくても良いと思ったからだ。

それから数日A子と勤務のすれ違いが続いたが、ようやく話す機会ができたので、A子に尋ねた。
「ねぇ、A子。最近料理って作ってる?私、帰っても1人だし、結局コンビニだよりなんだよね・・・ちょっと太ってきちゃって・・・」
「私ね、最近B美にご飯作ってもらってるんだ~。食費出してくれたら作ってくれるんだって~。楽だよ~。」
「え?毎晩のように来る彼の分は??」と私。
「もちろんB美の手料理」

(えーーー。B美の作ったご飯をA子彼はA子が作ったと思って食べてるの?なんか、切ない・・・。)私はちょっと彼に同情した。

それから数日経ったある日のことだった。
B美とA子彼が楽しそうに話しているのを見かけた。別に不思議なことではない。2人は同僚なのだから。
が、次の瞬間、驚くべき会話が聞こえてきた。
「A子、そろそろ私たちの関係に気付いてくれないかなぁ?」
「時間の問題だろ?A子の料理についてノロケっぽくあいつの友人に話しといたし。」
「食費はA子持ちだから、美味しいものが作れるのはありがたいけどね。ところで、A子とは【H】してないよね」
「あはは、冗談。あいつじゃ立たないよ。夏は特にダメだね。どんなに高級な香水やっても、汗の臭いしかしないんだぜ。シャワー浴びた直後にもう臭うって、どんな体してるんだよ。な~んて、この会話、A子が聞いてたりして~。」

私はその時知った。
この一連の騒ぎの主が彼であることを。
そして、3人が3人とも加害者であり、被害者であることを。
被害者はA子だけじゃないかって?
私は知っている。
A子の彼が付けたB美のあだ名が“焼肉の臭いのする定食屋”であることを。
A子が彼にもらったプレゼントのほとんどを売りに出していることを。
(=香水は何本買っても1本しか使っていない)

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