スペシャルインタビュー

神取忍さんと「いじめ」について考える

「いじめ」がダメ。
なんて、誰でもわかっていること。

「いじめ」を無くしていきたいのはもちろんだけど、
それよりも、今「いじめ」を受けている子を助けたい。
悩んでいる子を少しでも減らしたい。

そのためにはまわりの大人がどう動けばいいかを、
まじめに対談しました。

INTERVIEW THEME 1

いじめについて考える

原一

本を読まして頂きました。
この本には短期的なことと長期的なことについて書かれていましたよね?

例えば、長期的に考えると、教育を考え直すとか、そういう部分も大切な事なんですが、短期的な考え方ですぐできること。という部分で私たち探偵がすぐに動ける部分でマッチングしているな。と感じました。

実は滋賀県大津のいじめ事件の後に、問い合わせが増えたんです。
どうして、こんなにいじめ問題についての問い合わせがふえたのかな?って不思議に思ったのと同時に、こんなに困っている人がたくさんいることに驚いて、探偵として、何をお手伝いできるかをとても考えさせられました。

結局いじめって、学校の中だったり、敷地の中だったり、クローズの部分で起きていることが多くて、お手伝いが難しいことも多々ありました。困っている人が居るのに、手助けができずに、ただ話を聞くだけの現状に、ずっと何かできないかなと思っていました。

この本に書いてあるように、探偵が積極的にボイスレコーダーを仕込んだりする調査に関して出来ればいいんですが、まだ一歩踏み出せないでいる理由として、もしそれが見つかってしまって、いじめが悪化してしまったりなどというリスクを考えると、まだまだ課題はあるんですよね。

神取

今はラインなどの見えない部分もありますしね。グループ外されるとか。

原一

前に問題になった、学校裏サイトとか掲示板だと、外部からの発見もそこまで難しくなかったですが、実際ラインとかがメインになって見えづらくなったのは確かですよね。
探偵がすぐにできる事と言えば、登下校を見守るとか、学校から帰ってきて遊びに行くのを見守るとかなので、まずはそこからやってみようという事で「見守り調査」というネーミングでやらせてもらっています。

INTERVIEW THEME 2

今のいじめって実際どうなの?

神取

あー。なるほどね。それってすごく大切なことだと思います。
これはよくトークショーでも話しますが、いじめのやり方って時代時代で背景がありますよね。
育つ環境とかもとても関係があって、例えば30年40年前っていうのは、近所にガキ大将がいて「いじめはここまで」みたいな常識を守っていた部分があると思うんですよね。

だけど時代がかわって常識も変わってきていると思います。
今は大人も子どもも関係なくストレス社会になって、気持ちに余裕もなくなっていて、そういった中での対処っていうのは「常識が通らない時代」と思って対処していかないといけないと思うし、まずは目の前の事をしっかり対処していかないといけないと思うんですよね。

だから、探偵の方に見守りをしてもらうことだって、昔では考えられなかったことだけど、だけど、常識が何かなんて言ってられなくて「常識が非常識」になってしまう時代なんだから、そこではすごく、大切なことだと思います。

原一

いじめについて考えている神取さんとはいい出会いになったと思います。

神取

本当にそうですね。

原一

探偵で今やろうとしている見守りっていうのは、親に100%子どもの信号をキャッチするのは難しいと思うので、見守ることによって、そのちょっとした信号をキャッチしたり、普段お子さんがどのようにお友達と接しているかなどが分かるだけでも、安心しますよね。
それで少しでもおかしいな?って思うところがあったら、子どもに聞くなり、学校の先生に聞くなり出来るので、まずはそこの第一歩になれるといいな。と思っています。

神取

この本も出すときは、反対の声もありました。私のイメージだと、「いじめに負けるな。」とか「やられたらやり返せ!」とか精神論的な話をしそうだと思われがちなんですけど、それはそれで重要なのかもしれないけど、それだけじゃダメな時代ですよね。
これだけ自殺をする子がどんどん増えてくる中で、対処の仕方をちゃんと考えて行かないといけないと思ったんですよね。そのときにやっぱり自分の思う精神論とは違う切り口から考えさせてもらったわけですけれど。

原一

本当に参考になりますよ。この本を読んでいると。命を落としてしまったら終わりですもんね。

神取

本当にそうです。

原一

この本にも書いてあった、逃げるという表現が正しいか分かりませんが、それも大切。っていうのが共感できました。

神取

そうですよね。今は、逃げ場がないわけじゃないですか。
その逃げ場が、自殺になったり、死んだら楽になったりっていう考え方になってしまう場合もあるので、その逃げ場を作ることも重要だし、ちょっとのサインを見つけることが大切だと思うんです。
親子の関係もそうだけど、思春期だったりすると、自分がいじめられていることを、恥ずかしいとか、心配を掛けたくないとかいう気持ちから、言えない子が多いのが現実にあると思うんです。
そこのサインを見つけるには、外部の人の力を借りないといけない時もあると思いますね。

原一

問い合わせしてくる人の中でも体調が悪いとよく言うようになって、おかしいと感じるというパターンが多いようです。
学校に行きたがらなくなったので注意深く見てみたら、使っていないお金が無くなっていることなどに気が付いて、問い合わせしてきた方もいます。

やっぱり、体調が悪いとか通学路をかえるとかちょっとしたサインを見逃さないこと、早期発見してあげることが、早く解決してあげられることに繋がると思っています。
未然に防ぐとか状況確認をすることが、まずは探偵ができることだと思っていますね。

神取

そうですね。早く見つけてあげないと、解決もできない。気が付くことが重要ですね。

INTERVIEW THEME 3

今、いじめられてる子を助けたい

原一

いじめって正直無くならないじゃないですか。

神取

そうですよね。
撲滅って言っても、やっぱりなくすことは難しくって、人間の本能の部分で強いものが弱いものをしとめるっているのは少なからずあるかもしれないですよね。
でも、そこはいじめとは違うし、凶悪化していくって部分をとにかく抑えないといけないですよね。
当然、撲滅して、なくしていくことを目標にはしていくんだけど、本質的なことをしっかり見つめて対応してあげることが大切じゃないですか。

見方考え方をいじめにあっている子を早期発見して逃げ場を作ること、声に出すきっかけを与えてあげることですよね。
今は、なんでもメールなどで済ませることが多いから、声に出す大切さを知ってほしいですね

原一

確かにそうですね。
いろいろなパターンがあるとは思うんですけど、親に言えなかったらこの人とか、先生にいえないならこの人って、聞いてあげる人が居ることは大切ですよね。
神取さんが、味方だと思ったら、心強いんじゃないですか?
神取さんに、逃げても良いんだよ。って言われたら、そうなんだ。って素直に聞けるというか・・・。

神取

そうですね。
逃げ場所っていうのを作ってあげたいというのはすごくあります。
私は体育会系だし、心理カウンセラーでもないので深くは入っていけないかもしれないけど、物事はきっかけがないと始まらないし、その小さいことの積み重ねが大きなことになっていくわけだから、そのきっかけで、「逃げられるところがあるんだ」っていう道ができたらいいよね。って思います。

本当にきかっけなんだよね。いじめられてて、もう嫌だ。
って思って、学校も分かってくれなくても、探偵とかそういう大人が守ってくれるっていうのは、逃げ道として作ってあげておけたらいいと思いますよね。
子どものSOSを感じ取れない先生もいるかもしれないから、いろんな頼る場所を選択できればいいですよね。

INTERVIEW THEME 4

相談する場所、逃げる場所を作るには

原一

学生にとっては学校と友達がその世界で、家に帰って相談もできないってつらいですもんね。
今は、いじめ問題って、逃げ場所とか相談場所が全然クローズアップされないですよね。
今は、学校の対応がどうあったかとか、親が気付けなかったのかとか、そういう事ばっかり報道されがちなので、子どもたちだってどうしていいかもわからないですもんね。

そういう時に、本人が発信できる場所があるっていうことを教えたり、発信して良いっていうこが分かるようにしたりしないといけないと思うんですよね。
匿名でも良いし、なんでもいいですよね。

神取

ネットの相談でも何でもいいんですよ。
時代は変わっているんだし、匿名でネットが良ければ、それをまわりの大人が受け入れてあげないと。
時代と共に、受け入れる方法も考えて行かないといけないですよね。
昔はこうだったとかにとらわれているのは、通じないですよね。
学校の先生に相談しなさいとか、がんばりなさいなんて、もう通用しないんですよ。
それができていれば、ここまでにならないと思うんですよね。

原一

学校の先生だって、動きづらい部分もありますもんね。

神取

だから、どういう風に守るか。どういう風に選択肢を持たせるかですよね。
親でもいいし、先生でもいいし、第三者にでもいいしね。って。
事例があれば報道するとかも方法だと思います。

原一

いじめで自殺したとかニュースをやればやるほど、良くない効果もあると思うんですよ。

神取

そうですね。そうすれば、そうしちゃえばいいんだ!みたいなね。

原一

ニュースになれば、いじめた相手に復讐できるみたいになりますもんね。そうじゃないですし、それは阻止したいですよね。

神取

今は、職場のいじめもひどいんでしょ?

原一

そうですね。うちへの問い合わせにも職場のいじめはありますね。

神取

どの世代もそうですが、ストレス社会がいじめを作っているのかもしれないですよね。

原一

家出調査でも原因が会社のストレスやいじめだったケースも多いです。

INTERVIEW THEME 5

最悪の結末にしないために、
これからのこと

神取

いじめの加害者でも、人を殺したっていう意識がない人もいますからね。
「ふーん」みたいに、次にターゲットを変えていくとかいう話も聞くけど、これは立派な殺人だと思うんですよね。

法律的な問題とかもあるかもしれませんが、被害者ばっかり取り上げられて加害者はほぼ取り上げられないですからね。
罪の意識も薄いのかもしれないですね。

死んでしまうくらい追い詰めたって事を本人たちに気が付いてほしいと思いますね。そのまま大人になってほしくないです。
そういう時代だから、やっぱり証拠を出して、段階を踏んで、気が付いて、選択をしてっていう風に対応していってあげたいですよ。

原一

今は、親がボイスレコーダーを仕込むのか、本人にも了承を得られるのかなども問題としてはあったりもします。難しい部分ではありますが、助けになれればいいと思うんですけどね。

神取

でも、今はそうかもしれないけど、これが5年後10年後とかになったら、当たり前になっていくんじゃないかと思いますよ。

原一

確かに、ボイスレコーダーもGPSでもカメラでの証拠もどんどん普通になっていくかもしれませんね。

神取

当たり前のようになっていくと思うけどね。

原一

何年か前じゃ考えられなかったことが普通になっていくんでしょうね。
時代の変化とともにニーズも変わってくるでしょうし。
親への教育も必要になってきますよね。ラインが共有出来るとか、スマホの制限を掛けられるとか。

神取

そうですよね。そういうの、知っていれば出来る事もありますよね。子どもを探るばかりじゃなくて、親も知識を学ぼうって。

原一

親と子ども両方に知ってもらえる方法を発信したいですね。

神取

そうですね。両方にアプローチ出来る環境をつくっていきたいですね。

神取忍×いじめ問題
神取流れ いじめ解消術 弱者の吠え方

いじめ解決には、周囲の大人が動かざるを得なくなるような、確固たる証拠を押さえるべき!
どの様に証拠をとってどの様に使えばいいのかを書いた著書「神取流 いじめ解消術 弱者の吠え方」をはじめ、様々ないじめ問題を真剣に考えています。

原一探偵事務所×いじめ問題

子どもの安全を守るための「見守り調査」を実施。
プロ目線で、お子さんの行動を見守り、問題が起こる前に気が付いてあげられるような取り組みを行っています。家や学校では見えない部分をフォローし、転ばぬ先の杖として注目されています。

  • 神取忍
    神取 忍(かんどり・しのぶ)
    1964年10月30日、神奈川県生まれ。
    柔道家から転向し1986年ジャパン女子プロレスへ入団。

    1992年LLPW(現・LLPW-X)の旗揚げに参加。
    その豪快なキャラクターでタレントとしても活躍。

    2006年 参議院議員就任。
    現在はテレビ・CMをはじめ書籍なども出版。
    いじめ問題をはじめとする社会貢献活動にも尽力している。