探偵社の成り立ち
探偵が探偵と呼ばれるようになったのは19世紀の高度成長期にあったヨーロッパでした。
世界初めての私立探偵社を設立したのは、フランスの元兵士であり、犯罪者とされたフランソワ・ビドックといわれています。
犯罪者だった彼は脱獄と変装が得意だったらしく、その能力を買われ、パリ警察に密偵としてスパイ活動や情報収集を行っていたようです。
1850年には、アラン・ピンカートンがアメリカで初の私立探偵社・警備会社であるピンカートン探偵社を設立し、後にリンカーン暗殺計画を未然に阻止したことで有名になりました。
日本における探偵・興信所業のさきがけは、1891年(明治24年)、日銀と大阪地区の銀行などによる出資によって設立された「商業興信所」といわれています。
明治維新後に産業が振興して、株式会社(企業)の運営や、証券取引所の取引が活発化するに伴い「信用調査」が産業発展に必要不可欠となっていった時代のことです。
また、日本の私立探偵は、1895年(明治28)岩井三郎が東京・京橋に日本最古の探偵事務所「岩井三郎事務所」(現・株式会社ミリオン資料サービス)を開いたのが始まりといわれています。
岩井三郎(いわい さぶろう、生年不明 – 1956年10月30日)は元警察官であり、大正時代初期に起こった「シーメンス事件」「花王歯磨密造事件」「古河炭鉱詐欺事件」「元満州馬賊伊達順之助による殺人事件」の解決に寄与した私立探偵です。
殺人事件や汚職事件に関わったりと今の探偵と比べると華やかな印象ではありますが、弟子入りを志願してきた若き日の江戸川乱歩に「探偵に必要なのは推察力よりも粘り強さと根気だ」といって追い返したといわれています。
その言葉は現代の探偵にも通じるものがあるのではないでしょうか。